fbpx

アウトドアサウナで川や湖に入る際の安全対策について

SaunaCamp.はアウトドアサウナを楽しめる条件について、4つの項目で定義してきました。テントを建てて良い、火を使って良い、水遊びをしても良い、テントサウナが禁止されていないことです。これら4つの項目に加えて、当日の風速など自然環境で楽しめるかどうかを判断します。詳細は「テントサウナ安全ガイドライン」をご参照ください。

4項目のうち「水遊びしても良い」については、川、湖、海などシチュエーションが多岐にわたり、地形などで危険性も大きく変わるため、あくまで「管理者が水遊びを許可している場合」としてきました。水遊びの危険性について、いま一度考える必要があるといえるでしょう。

アウトドアサウナに関するサービス提供者はもちろん、ユーザーも危険性についてしっかりと認識しておく必要があります。不幸な事故を防ぐため、アウトドアサウナに関わるすべての人で考えていきましょう。

安全に水遊びできる場所とは

「足がつかない場所で、水を飲んでしまい溺れてしまう」というのは、誰しもが想像できることだとは思います。しかし、実際には頭が水でおおわれるくらいの深さ(大人30cm程度、子供20cm程度)があれば溺れる可能性はあると言われています。これは自然のなかでもプールでも同じです。まず大前提として、あらゆる水遊びにはリスクがともなうことを認識しておきましょう。

プールと自然の大きな差異は、危険の予見が難しい点にあります。川の場合、流れが急なところでは身体の自由が効かず、流されてしまうリスクがあります。また、流れが穏やかでも川底の地形によっては急に深くなっている場所があることがあり、大人でも注意が必要です。深さに関するリスクは湖や海も同様で、地形によっては一気に深くなっている場所もあります。管理者が「遊泳禁止」と指定している場所には、こうした危険が潜んでいます。「水遊び禁止」の場合は、さらに高い危険が潜んでいると考えてよいでしょう。

水遊びが可能な場所でも、腰以上の水深があり、流れの影響をうける場所では、常に溺水のリスクがあります。初めて訪れる場所で、危険を見抜くのは難しいでしょう。水遊びが可能な場所であっても、危険な箇所がないか管理者に確認しておくことが望ましいといえます。もちろん、もっとも安全なのはライフジャケットの着用です。

一律に線を引くのは容易ではありませんが、安全が担保される「流れ」「深さ」の場所で楽しむことが重要ということを覚えておきましょう。

自然の川や湖に入る際の心がまえ

安全対策はしすぎることはありません。可能な限りおこなうべきですが、ここでは絶対にやってはいけないことを挙げておきます。以下は最低限守るべき事項といえるでしょう。

1、「水遊び禁止」の場所では水に入らない
2、お酒を飲んだら水に入らない(体調管理の徹底)
3、子どもだけで水に入らせない
4、日が暮れたら水に入らない

子どもがいる場合は、目を離さないのではなく、いっしょに入ることが必要といえます。また、日没後は周辺環境の把握が困難になるため、水に入るべきではありません。

溺れている人がいた時の対応

溺水反応という言葉をご存知でしょうか。溺れるというと「バシャバシャ水しぶきをたて、声をあげて助けを求める」というイメージがありますが、実際は静かに溺れます。呼吸をすることに必死で、声をあげることも難しいといわれています。

(参考記事)
【“静かに”溺れる?夏休みの水遊びに潜むリスク】(NHK)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220725/amp/k10013730101000.html

溺れているかの判断がつかなくても「迷ったら助ける」が大切ですが、一緒に溺れてしまうリスクも非常に高いです。救助の際の心がまえは海上保安庁のサイトを参考にしてください。

(参考記事)
溺れた人を見たときの対処法(海上保安庁)
https://www6.kaiho.mlit.go.jp/watersafety/swimming/04_rescue/

テントサウナのオーナー、アウトドアサウナのサービス提供者は、緊急時にあわてないように、救助道具を備えておくことが望ましいでしょう。「救命浮き輪」「救命ロープ」を設置しておくだけで、リスクは大きく変わります。どちらもネット通販ですぐに用意できます。

設置者が行うべき対策

アウトドアでおこなうアクティビティである以上、事故を100パーセント防ぐことはできません。しかし、設置者が安全対策を徹底することでリスクを減らすことはできます。ここでは対策をしっかり行なっている例として、十和田サウナの取り組みをご紹介します。

(参考)十和田サウナの取り組み
https://twitter.com/towadasauna/status/1667542410052632577?s=46&t=lBDLTywe8oJDcFwQ5hP8KQ

以下は十和田サウナ発信より抜粋です。

------------------------------------------------------------
十和田八幡平国立公園の中で運営している十和田サウナ。水風呂が湖そのものであることは、我々の大きな魅力であると思っています。
一方で、サウナから湖に飛び込むことは当然危険が伴います。
わたしたちはその危険性を認識し、正面から向き合い、安全管理を徹底しています。

①管理人よる入水時の常時監視
十和田サウナでは、湖に入られる際に、管理人が監視につきます。危険が伴う入水なので、いつでも救急体制が取れるようにしています。なお、管理人は救命救急、MFA(メディカルファーストエイド)の取得を義務付けています。

②厳格な催行基準の徹底
自然の中のアクティビティなので、風や雨、雪に左右されます。コンディションにより、催行を断念することもあります。遠方からお越しいただいたのに、お断りすることも。ご不便をおかけしますが、安全第一を心掛けておりますので、ご了承いただけますと幸いです。

③ゲストの体調確認
受け入れる体制が万全でも、ゲストの体調がすぐれない場合、事故が起こる可能性は増してしまいます。なので、参加直前に、再度体調をご確認いたします。お客様の体調によっては、その場で参加をお断りすることもあり得ます。

------------------------------------------------------------

十和田サウナの取り組みは一例ですが、高いレベルの管理状況だと思います。カヌーやネイチャーランブリングといったアウトドアアクティビティを主宰する合同会社十和田湖ガイドハウス櫂の協力のもと、安全管理の体制構築が行われており、アウトドアのプロとの協力がとれていることも注目したい点です。

予見される危険に対して、事故予防対策を徹底することが設置者に求められるといえるでしょう。

考え続け、発信し続けること

アウトドアサウナは日本での歴史がまだ浅く、事故や危険性についても常に考え続けなければなりません。アウトドアの世界で常識なことが、すべての場所で徹底されるようになるには、まだまだ時間がかかると思います。

すべてのアウトドアアクティビティには一定のリスクが伴うことを前提に、事故防止対策を徹底すること。そして、その取り組みを関わる人たちで共有することが必要だと感じています。

ここで記載している事項がすべてではありません。専門家の意見も聞きながら、SaunaCamp.はこれからも安全対策についての発信を続けていきたいと考えています。

文:大西 洋(SaunaCamp.)