fbpx

岩田リョウコ&清水みさとの テントサウナで逢いましょう vol.01 タザワコサウナ

サウナ大好き作家・岩田リョウコさんと、サウナ大好き女優・清水みさとさんによる、MORZHオーナーズインタビュー企画がスタート!題して『テントサウナで逢いましょう』。全国津々浦々でテントサウナ「MORZH」を愛好するオーナーさんを訪ねてお話を伺います。一期一会のサウナ旅。記念すべき第一回目は、秋田県・田沢湖へ出発!リョウコさん、みさとさん、行ってらっしゃーい!(Sauna Camp.一同より)

はじめに

ある夜、サウキャンことSauna Camp.の大西さんから「リョウコさん、相談があるんですが、電話していいですか?今、ザ・グランドスパ南大門に兼康と2人でいます」とメッセージが。サウキャンがわたしに電話……。しかも2人そろって。重大な相談に決まってる。ちょっと怖い。南大門でととのいちらかして気分の良さそうな2人からの電話を恐る恐る、そして探り探り受けました。

モルジュを買って使ってくれてる人たちって全国にたくさんいるんですけど、みなさんがどんな風にモルジュ使ってるかリョウコさん、見に行って書いてくれません!?

モルジュオーナーたちのテントサウナに入りに行って、それを書く?重大な相談どころか、ものすごく楽しそうな企画の相談じゃないですか。二つ返事でオッケーです。

「じゃ最初、秋田!秋田行っちゃいましょう!わっはっはー」

笑ってましたね、ふたり。いきなり遠いとこ。しかも考えてみると、わたしこんなに長く生きてきて秋田に行ったことなかったんですよ。それが初めての秋田がいきなりテントサウナのため。拙著『HAVE A GOOD SAUNA!』の冒頭で「目的地=サウナの旅が〜」みたいなこと書きましたけど、まさかいきなり秋田にテントサウナ行ってきてっていう依頼が来るとは思ってませんでした

こうしてわたしのテントサウナを巡る旅が始まりました。まずは秋田は田沢湖から!

タザワコサウナ

初・秋田!ということでまずちょっとリサーチをということで、仲良しのサウナ好き女優の清水みさとちゃんと早朝サウナへ一緒に行った際「わたし今度、秋田のタザワコサウナってとこ行くんだけど、どんなとこか知ってる?」と聞いてみると「え!わたしも行きたいです」と食い気味返答。田沢湖のことも秋田のことも情報は得られませんでしたが、行きたいという強い意思をはしっかり伝わりました。

ということで、この旅、成り行きで清水みさとちゃんも参加することに。カメラマンはサウキャンの超初期メンバーである「そえちゃん」こと添田康平さん。出会って1時間で高校時代からの友人のような心地の良い感じさせてくれる不思議な人。そして写真がすごい。2020年の学校図書館出版賞など数々の受賞がある凄腕写真家なのです。そんなサウナ好きの3人でいざ、田沢湖へ。

目指す先は「タザワコサウナ」。田沢湖は秋田県仙北市にある水深423.4メートル、日本一の深さを誇る湖。この田沢湖を水風呂にしてテントサウナを運営しているのが、タザワコサウナのオーナーは八嶋誠さん。八嶋さんがどうしてこの田沢湖でテントサウナを始めたのか、そしてタザワコサウナってどんなサウナなのかをこの目で見て、体験しに行くのが今回のミッションです。ととのいすぎて話はいいや、という事態にならないようにしっかり聞きに行きます!

東京駅から岩手の盛岡へ。そこから車で西に約1時間半。秋田県の仙北市に田沢湖はあります。高速を降りて細い道に入ると突然、目の前に大きな青がパーっと広がります。そのほとりに2台のモルジュが鎮座しているのを発見。まだ春先なので湖でレジャーを楽しんでいる人は皆無。ということで、この広大な青い湖はもはやタザワコサウナの貸切水風呂状態。田沢湖をゴージャスに独り占め状態の八嶋さんが出迎えてくれました。

まずは八嶋さんにお話をしっかり伺ってからありがたく入ろうじゃないかということで、勢い余って半分開けかけたモルジュのジッパーをゆっくり閉じて、お話を聞きました。

八嶋さんはここ仙北市のご出身。大学から東京へ行き広告代理店で働いていて、3年ほど前に一旦お仕事をやめて旅行などしていた矢先、お父様がご逝去されたことをきっかけに仙北市にリターン。地元でできる仕事が農業などに限られていたことから、何か自分で新しい分野で仕事ができないかと考えていた時に秋田県の「若者チャレンジ応援事業」という地域活性化の補助金制度に出会います。

リョウコ「もともとサウナが好きでサウナをやるぞ!って最初から決めていて申し込んだんですか?」

八嶋さん「広告代理店時代は帰りも遅くて、サウナへ行って癒されるという日々を送っていたのでサウナは好きだったんです。田沢湖を眺めながら『田沢湖を水風呂にしてみたいな』と思っていたんです」

リョウコ「壮大すぎる!(笑)」

八嶋さん「それで【サウナ+湖ダイブ】というテーマで企画書を出したら補助金がおりたんですよね。でも補助金は『必要なスキルアップのための研修費や海外渡航費』がメインだったので、フィンランドへサウナ旅へ行ったり国内のサウナを回って「テントサウナにしよう」と決めて大西さんにテントサウナの注意点など話を聞きに行きました。ちなみに場所はサウナセンターでした(笑)」

みさと「またそれはいい場所選びましたねー!」

2020年の8月、タザワコサウナ始動開始

リョウコ「テントサウナってむずかしいですか?」

八嶋さん「外気温によってくべる薪の量って変わってきますし、薪の種類によっても温度は変わってきますね。自分で実際にやりながら、学びながら調整して行ってます。ここは稼働率も高いのでテントサウナのチャックが壊れてきたり、メンテナンスしながらですね」

みさと「さっきちらっと見たんですけど、下に敷物してましたよね。テントサウナって地面が素のままっていうのが多いから、何か敷いてあったらいいなってずっと思ってたんですよね」

八嶋さん「そうですね。それも途中で気づいて敷きました。でも溶けちゃったりいろいろ大変です(笑)」

リョウコ「でも楽しいですね、自分でカスタマイズしてレベルアップしていくのって」

八嶋さん「そうなんですよ。最近はドライヤーを使えるように完備したんですよ。でもみんな使ってくれないんですよ!電源とか高かったのにな……」

リョウコ「確かに大自然のテントサウナだったら、もう髪の毛濡れたままでもいいやってなりますね」

みさと「一生懸命準備したのにー!何か他にもこれは工夫したみたいなところありますか?」

八嶋さん「この前、風でペグが取れてしまってテントの幕がストーブに当たって焼けて穴が縦に開いちゃったんですよ。でもそのおかげで逆に風通しがよくなって熱くなりすぎないようになりました(笑)」

偶然が生み出した産物。これもテントサウナと自然の関わり方なのかもしれません。そんな愛すべき穴がある八嶋さんのテントサウナ、一旦入りに行きます。ちなみになんですけど、わたしがみさとちゃんとサウナへ行く時はいつもサウナ施設なので、なんとここタザワコサウナが初めて一緒に入るテントサウナでした。

裸足で入れる足の裏に優しい敷物に、ベンチにかけられたマット。ポケットには地元のおばあちゃんが作ってくれたというサウナハットも。中にあるもの全てが熱々になりやすいテントサウナに入る人たちの「アッチー!!」の声をしっかり聞いている証拠だなってすぐにわかりました。

そして八嶋さんが仕込んだ自家製のセージのお水でロウリュしてくれるんですけど、それもやっぱり八嶋さんのホストとしての心遣いがよくわかること。もてなされる方もうれしいです。

窓から湖を眺めながら入るテントサウナ。ゆっくり汗をかいて、鼓動が早くなるのをじっと待ちます。すべてはあの巨大な水風呂、田沢湖を最高に気持ちよく感じるために。「わたし、行けます!」とみさとちゃんがかけ出します。もちろん、わたしも追いかけます。その日の水温は9度(リョウコ・みさと調べ)アッツアツのサウナからキンキンの世界へ。いろんな湖に入ってきましたけど、これはキレイ。そして骨に染み渡るような冷たさ。もっと長く入っていたいけど、さすが波立つ9度。限界は早めにやってきます。

湖からあがると、砂浜に用意されたインフィニティチェアへ。波の音を聞きながら、あまみいっぱいの全身に風を受けて……これは、はい、ととのいますよ。すると八嶋さんがさっとコーヒーを差し出してくれました。なんという! なんというー! 最高の組み合わせじゃないですか。八嶋さんが豆を挽いてハンドドリップで淹れてくれたコーヒー。みさとちゃんが一言、「今まで飲んだコーヒーで一番おいしいかも」と。

そうなんですよね。コーヒーってもちろん質のいいコーヒーに越したことはないんですが、何よりもどんな気持ちで、そしてどんな環境で飲むかでおいしさってすごく変わってくるものなんです。みさとちゃんにとってこの開放感の中で丁寧に淹れてもらったコーヒーというのが、彼女史上一番おいしいコーヒーとなったわけです。そりゃもう絶品でした。

最後は八嶋さんも一緒にサウナに入ってもらいました。その時に八嶋さんが教えてくれたことなんですが、東北地方は塩分の摂取量が多くて、秋田も減塩運動を推奨している県で塩分の摂りすぎは高血圧やガンにつながると言われています。八嶋さんのお父様も高血圧の問題があったそうで、地元の人たちがサウナに入ることで自分の体を知って、少しでも健康に役立てたらと話してくれました。

時間貸切サウナなので、家族、友人、恋人とゆっくり気兼ねなく、汗をかいて、そして誰にも遠慮することなく湖にザブン!できるタザワコサウナ。以前、3世代で来られた家族がいて、おばあちゃんが湖にダイブしている姿を見られてうれしかったと八嶋さん。

「自分がサウナに入っていると人がととのっている顔って見ることないじゃないですか?でもこうやって運営側にまわるとみなさんが気持ちよさそうにととのってる顔をたくさん見られるんです。それを見ているだけで自分がととのってきちゃうんですよね」

東京で広告代理店勤務の忙しさの中サウナに癒されていた生活から、秋田の大自然のサウナでたくさんの人を癒す側になった八嶋さん。癒されていたからこそ、癒し方を知っているサウナのお兄さんでした。タザワコサウナ、また戻ってきたいです。今度は雪が積もった季節に。

タザワコサウナ

交通:JR田沢湖駅から車で約10分
営業:金・土・日・祝日(利用日の2日前迄予約可)
料金:1枠12,000円(税込)1名~6名まで
予約:https://tazawakosauna.com/

Profile

【岩田リョウコ】

兵庫県生まれ名古屋育ち。コロラド大学大学院で日本語教育学を学び2009年から外務省専門調査員として在シアトル総領事館勤務。在米中の2015年にアメリカで出版した『COFFEE GIVES ME SUPER POWERS 』は、Amazonランキング全米1位のベストセラーに。世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ好きが高じてフィンランド政府観局フィンランドサウナアンバサダーに任命される。著書に『週末フィンランド ちょっと疲れたら一番近いヨーロッパへ』(大和書房)、『HAVE A GOOD SAUNA! 休日ふらりとサウナ旅』(いろは出版)、『エンジョイ! クラフトビール 人生最高の一杯を求めて』(KADOKAWA)、『コーヒーがないといきていけない! 毎日がちょっとだけ変わる楽しみ方』(大和書房)がある。

【清水みさと】

女優。オーストラ・マコンドー所属劇団員。舞台、映画、ラジオなどで幅広く活躍する一方、1日に何度もサウナへ通う「サウナ大好き女優」としても知られる。規格外のサウナ偏愛ぶりは業界でも話題となり、TBS『世界ふしぎ発見!フィンランド、エストニア編』ではミステリーハンターに抜擢される。マイナス20度環境でも躊躇なく雪原に飛び込み、サウナショップでストーブを愛で回すマニアぶりは、SNSを中心に大きな話題となる。冠番組であるラジオ『サウナいこ?』(JFN12局)は、2021年6月現在で放送300回を突破。『サウナイキタイ』のポスターでモデルを務め、『マグ万平の のちほどサウナで』準レギュラーとして頻繁に登場することから、愛好家からは「サウナ界のミューズ」と慕われている。

『テントサウナで逢いましょう』、次回は岩手の七時雨山荘を訪ねます。お楽しみに!

文章:岩田リョウコ
モデル:清水みさと
写真:添田康平
編集:Sauna Camp.


岩田リョウコ&清水みさとの『テントサウナで逢いましょう』

vol.01 タザワコサウナ
https://saunacamp.net/magazine/tentsauna_trip_01/

vol.02 七時雨山荘
https://saunacamp.net/magazine/tentsauna_trip_02/