「サウナ」×「地域創生」は可能性のかたまり!
タイニーハウスデザインコンテスト2018授賞式レポ

タイニーハウスデザインコンテスト2018で、ぼくたちが手がけた『SAUNA HOUSE』がYADOKARI賞を受賞しました!去る6月17日、山梨県小菅村で行われた授賞式に出席。提案書に託した「サウナ」×「地域創生」の可能性、改めて大きいなと感じました! 応募・受賞までの経緯はコチラの記事をご参照ください。

 

「サウナ」は地域資源をフル活用できる、
1つの最適解なのかもしれない

受賞式は小菅村のYLO会館で行われ、受賞者が一同に会した。一流建築士さんの作品ばかりで驚き。

授賞式で目にした作品は、どれも本当に素晴らしいものでした。限られた空間を有効活用するアイデア、土地になじむデザイン、自然エネルギーの有効活用……海外でも活躍するような建築のエリートたちの作品は、魅力にあふれていた。

一般的に考えて、建築デザインコンペにおいて最も重要なのは、きっと構造やデザインといった建築的魅力だろう。そんななか、建築的には決して斬新ではない『SAUNA HOUSE』が選ばれたのは、ちょっとすごいことなんじゃないかと思っています。なにせ「現在はFCバルセロナのスタジアム改修をメインに…」みたいな建築士さんの作品ばかりなんだもの!

ぼくらは建物というハードではなく、「こんな美しい自然の中でサウナできるタイニーハウスがあったら最高じゃない?」という、ソフトに全力をかけました。もっと言えば、地元の人からみたら当たり前の自然環境が、サウナ好きにとってはヨダレ止まらないくらい素晴らしいんだよという提案をして、それが幸運なことに評価を得たのだ。小菅村にフィットした、地域資源を最大限活用できるアイデアの一例を提示できたんだと思う。

 

地域創生をシェアで実現する

授賞式にはSauna Camp.メンバーと、SAUNA HOUSEの建築設計部門を担当したコクヨエンジニアリング&テクノロジー株式会社でサウナ部の部長を務める川田氏が出席

地域資源の有効活用の他に、ぼくらの案には関係人口を増やそうということを盛り込んだ。関係人口は、簡単に言うと「観光以上、移住未満」というスタンスで地域に関わってくれている人々のことを言います。都市生活者にとって、移住はハードルが高い。その土地が好きであっても、仕事のこともあるし、土地の不便を受け入れるには覚悟と慣れと時間が必要だ。

でも「週末にあそびにいく、自然豊かな場所にあるタイニーハウス」ならどうだろう?所有する「別荘」じゃなくて、気の合う仲間とシェアしながら管理するならどうだろう?一気に心のハードルが下がる気がしませんか?「割と頻繁に遊びに行く観光地」より、もっと密着して、向き合って、おもしろい時間を過ごせそうな予感ありませんか?

気の合う趣味の仲間と、タイニーハウスをシェアで所有する。言い換えれば、地域創生をシェアで実現するということでもあるのかなって思います。それって、自治体にもユーザーにも幸せな状態なんじゃないかなぁと。1人の移住よりも、関わる人口は純粋に多いし。そして、そこにはフックとなる魅力が必要で、それがサウナなのだ。

 

サウナというソフトが生み出す関心と関与

他の趣味に置き換えるとわかりやすいですが、サーファーがいい波が来る街に住む、キャンパーがフィールドの側に住む、釣り好きがボートの置ける場所に住む…。なんとなく想像できると思います。そんな地域資源を活かすソフトに、いま「サウナ」がすごくアリだと思うんです。この数年で驚くほどファンが増え、ユーザーが多様性を求めているのに、その受け皿が全くと言っていいほど存在しないから。

「豊かな森と美しい川や湖が自慢」という自治体は、全国にたくさんあると思います。でも、そのなかに「じゃあサウナを作ろう!」という流れって、まだほとんど存在していないですよね。なにか町を元気にする取り組みをしたい、地元にたくさん人が来てほしい、そんななかでどうしていいかわからない場所があるなら、ぼくらにサウナ作らせてほしいです!

実際、もっとも気軽に設置できるテントサウナをつかった自治体のイベントは、驚くほど増えています。たとえば北海道下川町の「森ジャム」は、自然資源を最大限に活用してサウナをコンテンツにしているイベントだと思います。こんなふうにサウナに注目してくれる自治体、これからどんどん増えると思います。

 

サードプレイスとしてのSAUNA HOUSE

SAUNA HOUSEはアウトドアとサウナを楽しみながらリラックスする場所というのがベタな楽しみ方ですが、サウナ施設と同じで色んな使い方するのアリだと思うんです。例えば「カンヅメ」をする場として使うのも1つのアイデアです。PCとネット回線だけあれば仕事が完結する、そんな働き方の人も多いですよね。例えばそういう人たち(サウナイキタイの開発陣とか)にSAUNA HOUSEで集中的なサービス開発してもらうとか、そういう使われ方もしてほしい。ノマドワーカーが集中的に仕事して、スイッチの切り替えにサウナ入るという!

提案書には盛り込めなかったけど、サウナが注目されている理由のひとつに「ディープワーク」との相性の良さがあるなと思うんです。ディープワークというのは、デジタルデバイスから一切離れて、意思決定のためだけの時間をつくること。結果的にパフォーマンスがあがり、生産性を最大化できると言われています。サウナって、意識しなくても自然とディープワークできる場所なんですよね。

親子でアウトドアを楽しむ、サウナ好きが天然水風呂に興じる、企業のチームが開発合宿に訪れる、1人でリセットのために訪れる…SAUNA HOUSEはさまざまな「場」になれる可能性を秘めていると思います。実際、サウナ施設ってそうですよね。リラックス目的の人、仕事もってくる人、仲間と会うために来る人、いろんな目的がある。サードプレイスとしての側面が強いと感じています。

 

湖、川のある自治体さん、サウナつくりませんか?

湖畔や川沿いの土地って、自治体が管理していることが多いですよね。フィンランドのように湖畔にサウナを建てたくても、そう簡単にいくわけではない。でも自治体がおもしろがって「期間限定でもいいならやってもいいよ」って言ってくれれば、実現する可能性はグッと高まるんです!

例えば埼玉県では「水辺空間とことん活用プロジェクト」という、河川を民間事業者等に格安で貸し、活用してもらうプロジェクトがあります。国土交通省は全国的に河川空間のオープン化を進めていて、民間にどんどん地域活性してほしいんだと思います。つまり、アイデアと熱意募集中なんですよね。やっぱり「サウナ」×「地域創生」ってこれからキーワードになり得ると思うんです。

その時に重要なのが、サウナを愛するユーザーの声だと確信しています。たぶん自治体が進める時って「安心できるプロフェッショナルに頼もう」っていうのがプライオリティの1位にくると思うんです、ふつう。でも、プロフェッショナルって誰なんだろうか。そもそも日本にこれまでほとんど無いSAUNA HOUSEのような場のベストアンサーを、技術的プロが叩きだすかはわからない。技術は不可欠ではあるけど、1位じゃないと思うんです。ベストアンサーをもっているのは、サウナを愛しすぎて「この場所ならこんなサウナを建てて、コンセプトはこうで、それには絶対この要素が不可欠で…」って日々考えまくってる、サウナ愛の溢れるユーザー、そして土地の魅力を知っている地元の方々なのかもしれません。

サウナ愛があるかどうかって、好きな人は明確にわかると思います。せっかく自然の中にサウナ建てるのなら、サウナ愛があふれるユーザーの声を拾ってほしいです。

全国各地の美しい自然をお持ちの自治体のみなさま「サウナやってみようかな…」と思ったら、ぜひご一報ください!すぐ飛んでいきます!理想のサウナ像を一緒に考えましょう!

 

小菅村がその先頭を走る…!?

小菅村は多摩川源流が村内を流れており、ミネラルウォーターの採水地としても知られる素晴らしい水質をもつ土地。ぼくらのSAUNA HOUSEは最優秀賞を逃したので、建築確約ではありません。

でも小菅村の舩木村長(サウナ好き!)にお会いしたときに「熱意ある若者がどんどんこの村で遊んでほしい」と仰っていました。実現可能性はどこまであるかわかりませんが、東京から近く、自然豊かなこの場所にSAUNA HOUSEが建ったら…とひそかに実現可能性を探っています。

どうやって実現させるのかはまだわかりませんし、そもそも建つ保証もありません。それでも、建築デザインコンペにサウナをぶつけたぼくらの案を拾い上げてくれた懐の広いこの場所で、サウナができたらいいなぁと真剣に考えています。

ぼくが以前訪れたロシアのウラジオストクでは、海沿いの素晴らしい景観の場所にサウナ(バーニャ)が建っていました。「ここは景色が素晴らしいからサウナを建てよう」っていう発想なんだと思う。いきなりそこまでの文化的成熟は難しいかもしれないけど、そういう人、町、出てきてくれたらいいなぁと真剣に願っています。

ぼくらが出来ることは限られるけど、やってみたくなった自治体の方、ぜひお気軽に声かけてください!

▽『SAUNA HOUSE』はここでチェック
タイニーハウスデザインコンテスト2018結果発表

▽『SAUNA HOUSE』製作メンバー
Sauna Camp.
コクヨエンジニアリング&テクノロジー株式会社(サウナ部)
塩谷歩波(銭湯イラストレーター/小杉湯番頭)

Text & Photo by Sauna Cool (Sauna Camp.)

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